「手に職をつけたい」「でも、何から始めればいいかわからない」——そんな思いを抱えている人に、いま注目されているのが内装塗装の仕事です。壁や天井を美しく仕上げるこの職種は、一見地味に見えるかもしれませんが、実は空間づくりの仕上げを担う、非常に重要なポジション。とくに近年では、デザイン性の高い内装や店舗施工が増え、職人の技術力やセンスがより一層求められる時代になっています。
求人の中には、未経験からでも月収30万円以上が見込める案件も少なくありません。さらに、しっかりと経験を積めば独立も視野に入るため、将来的に安定した働き方を目指す人にも魅力的な分野といえるでしょう。今回は、そんな内装塗装職人の仕事について、仕事内容から応募前に知っておきたいポイント、そして働き方の将来性まで、求人を見るだけではわからない“リアルな視点”から紐解いていきます。
内装塗装職人って何をする?一日の流れと主な仕事内容
内装塗装職人の仕事は、名前の通り建物の“内側”を美しく塗り仕上げること。対象は住宅から商業施設、オフィスビル、店舗などさまざまです。作業内容は大きく分けて「下地処理」「養生」「塗装作業」の3ステップに分類されます。
まずは「下地処理」。壁や天井にひび割れや凹凸があれば、それをパテで埋めて平らに整える作業です。これが不十分だと、どんなに塗装が上手でも仕上がりが台無しになるため、非常に重要な工程です。
次に「養生(ようじょう)」。これは、塗らない部分(床、窓枠、設備など)をビニールやマスキングテープで丁寧に保護する作業です。ミスのない施工には欠かせません。
最後に「塗装作業」。ローラーや刷毛(はけ)を使って塗料を塗り重ね、均一で美しい仕上がりをつくります。指定された色や質感に仕上げるためには、塗料の濃度や乾燥時間、気温・湿度の管理も必要です。
1日の流れとしては、朝8時頃に現場入りし、10時と15時に小休憩、12時前後に昼休憩を挟みながら、17時前後には作業を終えるのが一般的です。作業が集中する日もありますが、メリハリのある働き方ができるのが特徴です。
求人を見るときに注意すべきポイントは?
内装塗装の求人にはさまざまな種類がありますが、未経験者が安心して応募するためには、いくつか注目すべきポイントがあります。
まず確認したいのは「雇用形態」。正社員としての募集なのか、業務委託なのか、アルバイトなのかによって、働き方や将来の安定性は大きく異なります。また、未経験から育成する前提の求人なのか、経験者のみを対象とした求人なのかも重要な判断基準になります。
次に「給与体系」。日給制・月給制の違い、賞与の有無、残業手当や交通費の支給状況などをしっかり確認しましょう。日給制であっても、現場が安定していれば月30万円以上を狙えるケースもあります。実際の月収目安や試用期間中の条件なども、できる限り事前に把握しておきたいところです。
さらに「施工エリアと移動手段」も見落とせません。遠方現場が多い会社では、早朝出発や移動時間が長くなることもあります。自宅からの距離や通勤方法、交通費支給の有無など、自分の生活スタイルと合うかどうかを考慮する必要があります。
最後に「教育体制」。ベテラン職人が指導についてくれるのか、OJTはあるのか、資格取得支援があるかなど、“育ててもらえる環境かどうか”は、仕事を続けていくうえで非常に大きなポイントになります。
未経験でも本当に大丈夫?塗装職人としての第一歩
「経験不問」と書かれていても、本当にできるのかと不安になるのは当然です。実際、内装塗装職人としてスタートする多くの人が、まったくの未経験から始めています。最初のうちは道具の名前すら分からなくても問題ありません。大切なのは、現場での素直さと、手を動かすことを怖がらない姿勢です。
未経験者の多くは、まずベテラン職人のアシスタントとして現場に入り、養生や掃除、材料運びなどのサポートから始まります。その中で、現場の空気感や段取り、職人同士の連携を学び、徐々に「下地処理」や「塗り」の一部に挑戦していきます。毎回違う現場で異なる条件に向き合うため、単調にならず、少しずつできることが増えていく実感が得られるのも、この仕事のやりがいのひとつです。
また、塗装業界には資格制度もあり、「塗装技能士」など国家資格の取得を支援してくれる会社もあります。資格を持っていることで、仕事の幅が広がるだけでなく、報酬の面でも評価されやすくなります。
現場で先輩の技術を見て、真似して、指摘を受けて直す。この繰り返しの中で、自然と「自分の仕事」が形になっていきます。何より、壁一面を自分の手で仕上げたときの達成感は、他の職種ではなかなか味わえないものです。
塗装の世界に飛び込むのに、遅すぎるということはありません。むしろ、今まで何をしてきたかより、「これからどう働きたいか」の方がよほど大事なのです。
長く働ける理由がある──内装塗装の将来性とキャリアの広がり
「手に職」とよく言われますが、実際に内装塗装の仕事は、技術を身につけることで年齢を問わず続けられる数少ない職種のひとつです。とくに近年はリフォーム需要の高まりや、デザイン性の高い空間づくりへの関心が強まっていることから、内装塗装の仕事は減るどころか、ますます広がりを見せています。
経験を積めば積むほど現場での信頼も高まり、単なる作業員ではなく「仕上げの専門家」としての立場を築いていくことができます。一定のレベルに達すれば、現場のチームリーダーや施工管理として現場を指揮するポジションに就く道もありますし、将来的に独立して自分の仕事を持つことも夢ではありません。
また、施工技術だけでなく、配色のバランスや質感の選び方、仕上げの提案力といったセンスが評価されるのも、この仕事の面白さです。経験とともに培われる“現場感覚”は、AIや機械では代替できない、人ならではの力だと言えるでしょう。
塗装業界には、年齢や学歴ではなく「続けること」「積み重ねること」が評価される風土があります。一つひとつの壁、一枚の天井と向き合いながら、仕事として、技術として、着実に成長していける環境がここにはあります。
▶︎ https://www.mitsuwa-painting.com/aging_painting
「自分の仕事」が形になる毎日を
現場に立ち、ローラーを動かし、壁一面を仕上げる。そのすべてに、自分の手が加わっているという実感は、他では得がたいものです。決して華やかな仕事ではありませんが、仕上がった空間を見るたびに、「自分の技術が誰かの生活や仕事を支えている」と胸を張ることができる。内装塗装職人の仕事には、そんな誇りがあります。
毎日の積み重ねが、確かな経験となり、自分の価値へと変わっていく。そうした実感を求めている方にとって、塗装という選択は、長く続けられる働き方のひとつになるはずです。
もし「気になる」「やってみたい」という気持ちが少しでもあるなら、まずは現場を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
 
        
